野生鳥獣の捕獲後の利用とは

北沢てつや(長野市議)

2019年07月26日 09:23

長野市議会6月議会で質問した内容をご報告していますが、今回は『野生鳥獣を捕獲したあとの』について聞いております。


<以下質問文>

 野生鳥獣による農作物の被害防止に向けた取組として4月から猟友会の会員を市の非常勤職員として任命し、個体数調整や環境整備など各種対策を開始いたしました。
 今年4月に竣工、運営を開始した中条地区にあります「長野市ジビエ加工センター」は国産ジビエ認証等を取得し、年間約1000頭のシカやイノシシを解体処理し、国内初となる商品管理システムのもと事業所向けに安定的な供給体制でジビエ販売が出来るよう準備を進めており期待が高まっております。
 また、本年度から長野市は鳥獣被害対策実施隊制度に移行し、県の野生鳥獣総合管理対策事業を活用して、幼獣のイノシシの捕獲補助についても対応できるようになったと伺っております。
そこで提案をさせていただきます。

 福岡県大牟田市にあります大牟田市動物園では有害駆除したシカやイノシシの肉を動物園内に飼育するライオンやトラに与える取り組み「ヤクシカZooプロジェクト」を九州大学と始動し、進めておるようです。

 これは全国的に注目されている「環境エンリッチメント」の一環で、飼育動物の活動性と行動の多様性を高め、野性と同様の行動を引き出し、望ましくない異常な行動を減らし、環境の肯定的な利用を増やすことを目指して行われており、この目的のために、給餌方法や飼育室の構造などがさまざまに工夫されるそうです。

 大牟田市動物園での屠体給餌(とたいきゅうじ)とは有害駆除したシカやイノシシの中でも商品価値の低い個体を使い、血抜き後に感染症のリスクの高い頭部と内臓を除去し、5日以上の冷凍処理を行うことでダニなどの寄生虫を死滅除去させ、冷凍状態のまま動物園で受け取り、冷蔵庫などで緩慢解凍(かんまんかいとう)してそのまま与えるというものです。

 まだまだ課題があるこの事業ですが、動物園の餌代費用の問題とジビエ加工センターの正式稼働を前に残渣(ざんさ)問題と合わせて研究検証をして欲しいと思っておりますが、まずは供給の面から処理等を含め提供は可能なのか、また消費の面から動物園での受け入れは可能なのか、さらに動物園での環境エンリッチメントについて、担当部局の所感をお伺いいたします。

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